INTERVIEW2

自然と調和すること。

 

1日の仕事の段取りをする、その日の材料を用意して、陽が昇って仕事して日が暮れて終わるっていう感じ?なんとなく1日のサイクルは固まってくるのだけど、元々の自然のリズムに沿った感じになっていると思う。今は天日干しをやっていないけど、例えば天日干しだと、そこに天候のリズムや読みも加わってくる。例えば3日後が晴れだからそれまでに仕事の計画立てよう、晴れの日に干すように、みたいな。天気に左右される、自然と隣り合わせな感じも心地よい。今日みたいに吹雪の日もあるし(笑)。明日はマイナス5度ですって。でももう慣れてしまって2度とか3度とか暖かく感じるようになった(笑)。天気はデジタルで確認するのですけどね(笑)。

 

実は前職は検査技師だったんです。病院や箱のような検査センターで何時間も働いて、いつ陽が暮れたのかも判らずにいるのと比べて、紙漉きは自然や四季と隣り合わせ、ある意味「人間らしく」生きる感じ。都会と違ってコンビニに行くのにも、ネットに繋ぐことにも時間はかかるのだけど、その不自由さが楽しいと思えるようになった。

 

今は日々が楽しく、心地よい。ここは時間の流れが自然に合わせているのでゆっくり。お日様がでたから働いて、真上にきて休憩して、沈んだら終わる。そう思うと、私は昔の人なんですね(笑)

 

工房は一部野外とつながっていて、深々と雪が降る様子が切り取られる。
工房は一部野外とつながっていて、深々と雪が降る様子が切り取られる。


叩解という工程。木のバーがネジで巻き上げられ、落ちてくる。餅つきのように楮の皮を、臼の中でかき混ぜながら、 十分にすり潰す。
叩解という工程。木のバーがネジで巻き上げられ、落ちてくる。餅つきのように楮の皮を、臼の中でかき混ぜながら、 十分にすり潰す。

五感を使っている瞬間が紙漉きの醍醐味。

やっていて好きな部分は、やっぱり最終工程の「漉き」。気持ちが静まるし、静まっていないといい紙が漉けない。舟を前にすると背筋がピンとするし、始める前にバランスの確認をしたり、呼吸を整えたりして自分のリズムをキープするよう努めます。水の温度にも。流れに注意して出来上がりを眺めるのがとても好きです。紙を漉いている所作も好き。でもその前の材料作りが完璧に出来ていないと、出来上がる紙の平均点が下がります。だからそれぞれの工程で100点満点を目指して、煮たり止めたりして、最後の紙漉きのあとも水分をしっかり絞って、全部がいい紙になるように気を遣ってる。それらの作業の中で「漉き」が一番気分がいい。

水の音も大事。だからこの工房は音楽かかってないでしょう。目で見て、音を聞いて、手の感触で確かめて、私は五感を使って紙をつくりたい。五感を使っていられる瞬間が自分の中では心地よいんです。

 

無音の工房にカタン、カタン、チャポチャポチャポとリズミカルな紙漉きの音が響く。渋谷さんは2種類のゆり方で漉く。ゆり方に寄って響く音も変わってくる。
無音の工房にカタン、カタン、チャポチャポチャポとリズミカルな紙漉きの音が響く。渋谷さんは2種類のゆり方で漉く。ゆり方に寄って響く音も変わってくる。

INTERVIEW 1

次の世代へ紙漉きを繋げるために

 

最初は、こういう環境だと想定していないで山形に飛び込んできました...

INTERVIEW 2

自然と調和すること

 

1日の仕事の段取りをする、その日の材料を用意して、陽が昇って仕事して日が暮れて終わるっていう感じ?

INTERVIEW 3

やっぱり楮100%は職人からすると「誇らしい」

 

私は国産楮をやってきたから、これからも国産楮でやっていきたいと今はこだわっています...

INTERVIEW 4

いつか「これだ!」と思う紙を作れる、そう思うとワクワク

 

正直、寒い中チマチマやっいてしんどいけど、でも和紙をやっていて毎日ワクワクしている...


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