INTERVIEW 2

月山和紙を受け継いだキッカケは、スカウト。

 

この地に来てからは24年になります。もともとは埼玉県の小川町っていう和紙の産地があるんですけど、そこに住んでいたんですよ。だもんで、和紙作りたいと考えると小川が一番近いんですよ。そこで修行していて、5年目くらいから独立したいなと思って、探していたんです。で、7年目の時に、伝承館が平成元年に作られたんですけど、その時に一緒に和紙工房も作ったんだけど、そこに紙漉きをする人がなかなか見つからなかったんですよ。で、空き家だったんで、西川町の職員の人が、あちこち探してて。ツテを頼って、私が修行していた小川町の紙漉き場に訪ねてきてくれて。来ませんかって。

 

その前は、サラリーマンで本屋さんで書店員だったんです。友達も出版関係の人が多かったんです。その中に和紙が好きな人がいて、その人と和紙産地を巡ったりして。いろんなところに行ったのが和紙に興味を持ったきっかけですね。

 

 

もともと物作りが好きなんですけど、本屋さんに勤めて13年目くらいで、30過ぎてずっとこのままサラリーマンやるのかと悩んで。考えてたもんですから。自分でものを作って暮らしていきたいなと思って。自分の生き方を考える時に和紙が一番身近にあったんですよ。

月山和紙は国産原料にこだわる。

国産楮にこだわるのは、俺が作ってるのは和紙だから、それが和紙。外国で栽培された原料で作った和紙は、俺は和紙だと思ってないから。

例えば、タイと国産だと紙が全然違う。タイの楮はコシがないし、苛性ソーダじゃないと煮えない。漂白しないとダメだし。韓国とか中国産というのもあるらしいけど、使ったことはない。もしかしたらいいのかもしれないけど。

普段は高知の楮を使っています。栽培もしてるけど量は少ない、それは岩井沢で紙漉きしてるおじいちゃんが、自分の家の周りに楮を栽培してたのを一緒に手伝って、刈り取りしたりとか、皮むきとか。三年くらい一緒にやってたかな。それで跡を継ごうと思って続けてる。

 

一番好きな工程は、紙を漉いているとき。

紙を作るのって、すごく単純。繊維にして、その繊維を水に溶かして、それをこのすだれとかで掬えば、紙ができる。すごく単純な作業。だから昔からずっとある。昔は誰でも冬場だけの作業にして作っていたわけ。農閑期の一般的にある作業だったんですよ。

 

その単純な作業の中で、一番好きなのは、紙を漉く時で、どんな紙を漉こうか考えながらやるのがいい。その日によってはめちゃくちゃ薄い紙も作るし、荒っぽいのもあったり、いろんな紙を作る。いろんな種類があるから、それを一つ一つ自分で作ってみたい。

この日は地元小学校の賞状を漉いていた。薄い紙と厚い紙を交互に重ね合わせて、校章を挟み込む。30〜40枚漉いたらこまめに絞りの作業に移る。丁寧な仕事。
この日は地元小学校の賞状を漉いていた。薄い紙と厚い紙を交互に重ね合わせて、校章を挟み込む。30〜40枚漉いたらこまめに絞りの作業に移る。丁寧な仕事。

取材   和氣明子  (Akiko Wake/FUTURE'S)

撮影   宿野辺隆之  (Takayuki Shukunobe)

INTERVIEW 1

山の水でつくられる月山和紙。

 

手漉き和紙において、一番大事なのは、水ですね。水にはいろんな条件があるんですよ。軟水じゃないとダメだとか...

INTERVIEW 2

月山和紙を受け継いだキッカケは、スカウト

 

この地に来てからは24年になります。もともとは埼玉県の小川町っていう和紙の産地があるんですけど...

INTERVIEW 3

機械漉きや洋紙に負けている部分は多いけど。

 

機械漉きには負けてるかもしれないね、機能面でいうと。今は機械漉きも発達してきてさ...

 

INTERVIEW 4

 自分にとって紙とは何か。そして今後の夢。

 

和紙がどういう存在かといえば、30歳頃に見つけた一生続けられる仕事。後悔はないし...

 


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